展示レポート「漫画脳展」

すでに終わってから1ヶ月ほど経ってしまった展示レポート。
終わってからいろいろありまして、いつも以上に遅くなってしまいました。
まぁ、自分メモなのでw

2022年、最初の展示は、「漫画脳展」でした。
お越しいただいた皆さん、一緒に展示された皆さん、ありがとうございました。

さて、この「漫画脳展」のコンセプトは、『漫画に人生を変えられた私が”今”伝えたいこと』。
展示する作品のカプションは、自分の血肉となった漫画のセリフそのもの。
漫画の1シーンを再現するのではなく、あくまでそのセリフから感じたことを自分なりに写真に落とし込む。
自分としては、このコンセプトがとても魅力的でチャレンジするべきだ!と思って参加することにしました。
また、最近は展示活動の範囲が限定的になってしまっていたので、新しい人たちと一緒に展示できると言うことも参加理由の一つ。

この2年ほどは、どちらかと言うと展示のために撮影すると言うよりは、展示のテーマやコンセプト、この展示で自分は何をしたいのか?などを考えて、普段から撮り溜めていた写真の中からセレクト・構成することを意図的にやっていました。
流石に、この「漫画脳展」ではそれはできないので、久々に撮り下ろすことにしたのですが、いやー、これが難しかった。
好きな漫画はたくさんあるのですが、その中からセリフを選ぶとなると大変です。もちろん心に残っているセリフはいくつもあるのですが、それを写真に落とし込むとなると話は違ってきます。
心に刺さるセリフ、写真にしやすいセリフ、自分のスキルで写真に撮れそうなセリフ・・・。悩みました。
そんなことをしているうちに、「俺って、そもそも漫画が好きなのだろうか。その好きと言う気持ちが他の出展者の皆さんに負けているのではないか?参加する資格がそもそもなかったのではないか?」と不安になってきました。

そんな中、やっとこさ、見つけ出したセリフがこちら。
「臆病なくせに物見高く
なまけもののくせに欲深く
被害者意識のかたまりで
そのくせ世の中を我が物顔で歩き回る健康うすのろだ」
出典は「少女椿」です。

30年ほど前に読んだ漫画の中のセリフです。
改めて読み直してみて、当時、自分は世の中に(大衆に)対して思っていたことをなんて具体的に書いたセリフなんだと思ったことを思い出しました(なんで大衆に対して、そんなことを思っていたのかは学生時代のバイトでの経験によるのですが、ここでは割愛)。
そして、このセリフは30年経った今の社会において、さらに説得力があると感じました。

最近、カジュアルな正義感が溢れていませんか?
カッコいいと思っているかもしれないけど、結局、ルサンチマンを正当化しているだけ。そんな世の中に、ワンダー正光から怒りの一言なのです。

今回はこのセリフを元にセルフ・ポートレートで撮りました。
誰か他の人に「うすのろ、やって!」と頼みづかったこともあるのですが、他の人を撮ったら、すごく上から目線になってしまうというか、「みなさん!この人がうすのろです!」と指を刺して批判しているような写真になってしまうのではないか?と思えたので、「だったら自分を撮るしかないな」と覚悟を決めた次第。
ただ、このセリフを見た人にそのままぶつけても辛くなってしまうので、表面的にはユーモアを。そして、見た人が自分が言いたかったことに到達できるように、ネット情報との付き合い方を軸に、各情報を盛り込んで。説明的にならないよう、その辺は見てくれた人を信じて。

あ、今回は展示した写真はここには載せません。
だって、自分は今後被写体活動はするつもりはないので、ここに写真を載せることによって、オファーが来ても困るし(笑。
それにしても自分の姿を1週間もギャラリーに飾るってのはメンタルがやられますなw

ご覧いただけた方々には概ね好評と言うより面白がっていただけたようでなによりでした。まぁ、「ポートレート=若い女の子の写真」と定義しているおじさん達には素通りされましたがw

展示自体もとても楽しい展示になってたと思います。
出展者の皆んなで、ここまで展示のコンセプトをきちんと共有できたグループ展ってのはそうなかなかないと思います。
そのため、みんなバラバラな作風だけど、統一されていて見やすかったのではないでしょうか。
写真そのものを見慣れていない人でも漫画から興味を持って行きやすいし、こんなセリフがあっんだなんてところから写真に目がいくこともあって、とても情報量が多く、来場者の皆さんの滞在時間も長めだったことから楽しんでいただけたかな、と思っています。
見ていただけた方とも結構お話しすることができて楽しかったですね。
セリフ出典元の漫画はあまりにもマイナーなので、知っている人はいないんじゃないか、と思っていましたが、結構、いらっしゃってびっくり。イタリアから来られている方からは「イタリアで見たことがある」と言われてさらにびっくり。

それにしても参加して本当に良かったです。
実は、10月以降、体調を崩していて、なかなか展示のことを考えられなかったり、撮影することができなくて、何度も何度も参加をキャンセルしようと思いました。
なんとかギリギリで撮ることができましたが、チャレンジすることよりも、今までの自分で撮れる写真を優先してしまったような気持ちもあって、見た方に受け入れてもらえるかどうか本当に不安でした。
実際は楽しんでいただけたようでホッとしました。
撤収が終わった後、本当にこの展示メンバーの中に入れて良かった、となんかこみあがて来るものがありましたね。
この展示に参加できたことは本当に誇りです。

そんなわけで、だいぶ長くなってしまいましたが、レポートとしてはこの辺で。

【漫画脳展】
・会場:デザイン・フェスタギャラリー EAST 101A&B
・期間:2022/1/4(火)〜10(月・祝)

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