展示レポート「錆と廃墟展 vol.5」

これまた遅くなってしまった展示レポート。
写真企画室「ホトリ」さんの公募展「錆と廃墟展 vol.5」です。

毎度のことですが、お越しいただいた皆さん、RTなどで告知にご協力いただいた皆さん、ありがとうございました。そして、一緒に展示した出展者の皆さん、写真企画室ホトリのsaorinさん、お疲れ様でした。
前回のvol.4は今年の1月に開催されたので、あれ?この前やったばかりだよね?って感じですが、前回参加してみてとても面白い展示だったので、今回も募集されてからすぐに申し込みしました。

さて、今回は前回よりもどのような写真を出すのかとても迷いました。普段から、錆や廃墟を意識して撮影することはないので、過去の撮影分からのセレクトは難しいかな、と。
では新たに撮影する場合、何を撮影したら、「錆と廃墟展」のテーマ「朽ちてゆく儚さ、それに伴う美しさ」にコミットできるのか。
前回は、ガッチガチに「錆」を全面に押し出した作品だったので、今回はもう少し幅を持たせたいな、とか、少しユーモラスなところもあってもいいかな、と考えていました。

そして、今回、展示した写真はこちら。
タイトルは「ワタシヲワスレナイデ・・・。」

 

場所はとある海岸。二槽式洗濯機が砂に埋もれています。
特に一般的な廃墟感はありませんし、錆も映っていますがメインではありません。謎なシチュエーションと言うか、どちらかと言うと「おもしろ写真」のカテゴリーに入ってしまうような。

これを出そうと思った理由は2つ。
1つ目は、「錆と廃墟展vo.5」と同じ時期に開催される「展示バカ2020」と関連付けられる写真をセレクトしたかった、ということ。一応、「展示バカ2020」に出した写真と合わせて見ることで、普段、自分が写真を撮るときの共通テーマとしている「視点を変える」を体感できるようにしてみました(これに関しては「展示バカ2020」の展示レポートに書きます)。
2つ目は、この洗濯機の埋もれ方が、時間の流れ強く感じるところです。意図的に穴を掘って埋めたようには見えません。そのため、かつて、ここで誰かが何かしら洗濯機を使った活動を行っていたように想像できます。加えて、この埋もれ方が、比較的時間をかけて自然に砂に埋もれていったように見えます。そこに、「錆と廃墟展」のテーマである「朽ちてゆく儚さ」を表現できるのではないか?とおもったのです。 そして、忘れられていくもの写真に留めるのは美しい行為なのではないか、とも思うのです(笑)。
正直、こんな「おもしろ写真」を出してしまって、怒られるのではないか?と不安でしたが、いただいた感想からは概ね好意的に受け取っていただけたと言うか楽しんでいただけたようです。
いただいた感想の中で印象的だったのは、結構、「二槽式」であることが気になっている方がいらしゃったこと。確かに、今となっては珍しく、人によっては懐かしく感じるようです。その辺も「忘れ去られていくもの」なのかなぁ、と気がついたり。
そして、「砂の女」を思い出したと書かれていた方も何人か。この「砂の女」って小説のことは知らなかったのですが、調べてみると確かに知っている人からすれば、モチーフとして思い浮かべるなぁ、と。「展示バカ202」で出した写真もかなり「砂の女」感がある気がして、あぁ、タイトルはこれがよかったか、と。言葉を知るためにはもっと本を本を読まないと思ったのでした。

最終日には、搬出ということで他の出展者の方々をお話しさせていただきましたが、おもしろかったですね。
ここでも「二槽式」が話題になったり。「いい埋まり方だよねぇ」とかおしゃっていただけて。よくよく考えてみると、そもそも、洗濯機に「いい埋まり方」などがあるのだろうか?帰宅後、思い出しツッコミしてしまいました。
実は、こう言う状況になるのは、は自分で目指してところなので嬉しいかったですね。綺麗とか上手いとかそう言うことではなく、写っているもの・状況がどうしても気になってしまって、何かを言いたくなっちゃり、自分の思い出や記憶を話したくなっちゃり。見ていてどんどん言葉が生まれてくる。それを実現できて、幸せな時間でしたね。

ってことで、展示はこんな感じででした。今回は、オーソドックスなフォーマットで。横位置の写真を縦位置のフレームに入れるのが結構好きだったりします。

そんなわけで、自分的としては、2回目となる「錆と廃墟展」ですが、自分なりにテーマにコミットしつつ前回からその幅を広げることもできたし、有意義な展示になりました。
まだまだ「錆と廃墟展」は続くそうなので、また参加して、このテーマを楽しみたいと思います。

【錆と廃墟展vol.5】
・会場:写真企画室ホトリ
・期間:2020/12/16(日)~12/13(日)

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